今年はバレンタインにチョコが貰えそうになかった。



バレンタインなんて興味ないわー、と思ったりしたことはあるけれど、
イベントとしてまぁそれなりに楽しめればと思ってしまうと、
一つもチョコレートが貰えないのは寂しく感じる。

仕事が一段落し、いつでも職場からログアウトできる状態だった。
まだどなたからもチョコレートを貰っていなかったので、少し様子を見ながら雑務をこなしていた。

職場は女性の人数がかなり少ない。その数すくない女性と仕事で絡めていない。
可能性は0に近い。


さて、ほとんどの女性たちはすでに帰宅してしまったようなので、帰ろう。
そう思い、職場を離れ、ふとコンビニへ入る。


店内をうろつくフリをして、考える。

レジ近くにいる店員さんは、女性と男性が1名ずつ。

ふと、この女性の方からチョコを貰うことはできないだろうか。そんなことが頭をよぎった。
(あぁ、寒さで頭がおかしくなったのかもしれない。)



おもむろにカゴを手に取り、特設コーナーに陳列されているチョコレートをそっとカゴに入れた。
だれも見ていないけど、こういう時は自意識過剰になってしまい、恥ずかしく思う。

女性店員側のレジが空くのを待って、レジへGO.
女性がカゴからバレンタインチョコを取り出し、簡単な包装袋と一緒に手渡してくれた。
会計を済ませ、お店をあとにすると、足取りは軽かった。



見知らぬ女性から受け取ったこのチョコレートは、いったいどんな形や味をしているんだろうか。